こんにちは。ただの野球ファンのひらっち(@furakima)です。
「豪腕~使い捨てされる15億ドルの商品~」という本を読んでみました。
野球のピッチャー受ける手術「トミー・ジョン手術」について、様々な視点から現状が書かれた本です。
トミー・ジョン手術って何?
正式名称は「側副靱帯再建術」と言います。
こんな感じの流れ。
- 投げ過ぎで肘の靭帯断裂
- 他の部位(反対の腕など)から靭帯持ってくる
- 2の靭帯を肘につけちゃう
この手術を最初に受けた選手の名前から「トミー・ジョン手術」と呼ばれています。
松坂大輔選手や、最近ではダルビッシュ有投手が、この手術を受けています。
ちなみに、この手術を受けると復帰まで1年以上かかります。
肘への負担を考えてみた
そんなに人間の肘って弱いの?ってお思いの方もいるかもしれない。
例えば、このピッチングマシン。太いバネの力を利用して速球を投げています。
このアーム・バネのような負担が人間の肘にかかって、それを何千球も投げたとしたら・・・
※この例えは、本には書いてありません。私個人の考えによるものです。
どんな本??
ざっくりと、以下の項目に分かれます。
- 自分の身体に移植出来る靭帯が無いため、死人の靭帯を移植した選手の話(トッド・コッフィー投手)
- トミー・ジョン手術の概要・歴史
- アメリカのアマチュア野球の現状(高校・大学生でこの手術を受ける例が増えている)
- 球数制限について
- 肘に不安がある大物選手の契約舞台裏(カブスのジョン・レスター投手)
- 2度目のトミー・ジョン手術から、メジャーに復帰した選手の話(ダニエル・ハドソン投手)
- 日本のアマチュア野球の現状
- 故障回避術(?)を教える、新興宗教のような組織の出現
- データを活用し、この手術を減らそうとしている人達
- リハビリ期間が短い、新しいタイプの手術実験(うまくいけば、半年で復帰できるかもしれない)
400ページを超えるため、ザックリまとめてもこれくらいの項目になります。
この本のスゴイところ
一つ一つの話が濃い。ちょっとインタビューして取材終わりな本では決してありません。
取材するって決めたら、1年以上その選手に密着して、奥さんや子供の視点からもまとめています。
トミー・ジョン手術について、少しでも興味があれば、絶対この本は避けて通れない一冊です。
結局どうなったのか?
2010年初めから、2013年にかけ、肘の靭帯を損傷した選手は658人。
故障者リストで失われた実働日数は14万5824日。一人平均221日。
大きな問題となっている、肘靭帯の損傷問題。
結論を言えば、まだ「これだ!」と言える対策は出来ていないのが現状です。
決してハッピーエンドな本ではありませんでした。
普段当たり前の様に観ている野球。
しかし、その華やかな世界の裏に、これだけの苦悩がある事を忘れてならないと思いました。
是非、野球に関わる方には、一度手に取っていただきたい本です。
人生を楽しく!では、また。